ウクライナ侵攻を発端としたロシアへの経済制裁は、ロシア経済に深刻なダメージを与え続けてはいるものの、ロシアからの輸出を禁止したことにより、同時に世界中で物価上昇も招くというジレンマを抱えています。
2022年3月8日付の<鉄鋼新聞>によれば、3月4日時点における年初比で、非鉄金属価格は銅:8.4%/鉛:6.4%/亜鉛:13%/アルミ:35.3%/ニッケル:39.3%/錫:21.4%と、大幅に上昇。
天然ガスや原油ガスのエネルギー高騰にともない、生産コストが押し上げられたこと、それに呼応した供給懸念が価格に反映された形となっているようです。
そんな状況に追い打ちをかけるように、合板も輸出を禁じられたことにより、建物の壁や床など構造耐力上主要な部分に用いられる、構造用合板も高騰。
新型コロナウイルスの感染拡大に端を発した世界経済の混乱は、今や「第2次ウッドストック」とも呼ぶべき状況に陥っているのです。
工事費を2%も引き上げる、資材不足のもたらすリスク
そんな第2次ウッドストックがもたらした、資材不足および設備機器の品薄、原材料・輸送費の高騰は、新築・リフォームを問わず、工事費をおよそ1〜2%も引き上げています。
それにともない、
- 新居の引き渡しが先延ばしになった
- トイレとキッチンが届かず、予定どおりのスケジュールでお客様に物件の引き渡しができない
- 引っ越しの日程変更により、家賃の支払いなど想定外の出費がかさんだ
――現在、不動産業界の現場からは、こんな悲鳴にも似た声が聞こえてきています。
投資の原資である前に、入居者の暮らしのインフラとしての不動産であるということ
では、新築やリフォームに欠かせない部品や材料の不足が続く場合、どのような懸念が考えられるでしょうか?
– リフォーム価格が上昇する
– ローン金利が上昇する
– 支援金・補助金が縮小となる
– 工事の遅延が発生する
– そもそも、工事の予定が組めない
– 設備が故障しても、いつ交換できるかもわからない
不動産投資には、賃貸物件におけるニーズやトレンドを分析し、適正な家賃設定をおこない、事業として綿密な計画を策定、マネジメントする必要がありますが、そもそも投資のための原資である前に、入居者の暮らしの拠点となるインフラであることを忘れてはいけません。
たとえ首尾よくコストを抑え、計画通りにリフォームを施し、安定した入居率を維持したとしても、そのインフラを支える設備をつねに快適に利用し続けられる環境を担保してはじめて、資産としての価値と、他にはないアドバンテージを確立できるのです