2019年に「老後2000年問題」が大きな話題になって以降、長期にわたって低金利政策が続いていることも重なり、株式や不動産を活用した資産形成への関心が高まっており、人々の投資に対する意識は大きく変化しました。特に2024年に新NISAがスタートすると、制度のメリットに株価上昇の追い風が加わり、これまで投資に対して消極的だった層も新NISA口座を開設するなど、さらに多くの人が投資に対して前向きな行動をとるようになってきたのではないでしょうか。
そのような中で2024年8月5日、日経平均株価が4,451円安と暴落したことは皆の記憶にも新しいでしょう。今回の下げ幅は、1987年10月20日(アメリカのブラックマンデー翌日)の3,836円を超え過去最大で、暴落率も史上2番目となりました。今回の歴史的な日経平均株価の大暴落は、特に新NISAをきっかけに投資をスタートした投資初心者に、大きな衝撃と不安を与えたのではないでしょうか。
2024年8月初めの株価大暴落以前、日経平均株価は2024年初から大幅に上昇し、バブル期以来の高値を更新し続けていました。メディアやSNSでは投資成功者の体験が目立ちがちで、特に投資初心者は投資のメリットのみにフォーカスしてしまう傾向が強かったように感じます。
ですが、前提として新NISAも他の投資手段と同じく、メリットと同様にデメリットもあることを考慮する必要があります。
新NISAは、投資のキホンを学ぶための入門編
NISAの最大のメリットは、投資で得た利益が非課税になることです。通常、株式の売却益や投資信託の分配金には約20%の税金がかかりますが、新NISAの枠内で運用すれば、この税金が免除されるため、より多くの資産を築くことができます。
2024年からスタートした「新NISA」では、そのメリットがさらに拡大しました。
・投資可能枠の拡大
従来の制度では年間投資枠がつみたてNISAは年間40万円、一般NISAは年間120万円でしたが、新NISAではつみたて投資枠が120万円、一括投資もできる成長投資枠(従来の一般NISAに替わるもの)が240万になりました。さらに2つの投資枠の併用も可能です。
・投資期間の恒久化
従来のNISAでは、一般NISAは5年、つみたてNISAは20年と非課税期間が限られていました。新NISAでは非課税期間が無期限になり、最大1,800万円の「生涯投資枠」まで非課税で投資することができるようになりました。
つまり、新NISAでより投資額を増やした資産形成が可能です。
短期の浮き沈みに惑わされない、長期の視点が不可欠
メリットの多い新NISAですが、もちろんデメリットもあります。
最も大きなデメリットは、株価が市場変動に左右される点です。新NISAでは元本保証はなく、投資した金額より損失がでる、つまり元本割れのリスクがあります。そのため、短期的に必要な「日々の生活費」や「数年内に使い道が決まっているお金」ではなく、「10年以上など、長期的に運用したいお金」で投資しなければなりません。
また仮に新NISA口座で損失が発生した場合、課税口座での利益(譲渡益・配当など)と相殺することができません。ちなみに通常の課税口座では損失と利益を相殺することができるため(損益通算)、税金を軽減することが可能です。
新NISAでの損失は、翌年以降に繰り越して税金控除に使うこともできません(繰越控除)。通常の課税口座では、同一年の利益と損失を相殺してもなお損失が発生した場合、確定申告を行えば最長3年間まで損失を繰り越して控除することも選択できます。
効率的な資産形成に「新NISA×不動産投資」が向いている、4つの理由
先に述べたとおり、新NISAも一般的な株式投資や投資信託・債権などと同じく元本保証がない金融商品です。リスクを効果的に軽減しながら資産形成をするために、新NISAという一つの投資手段のなかでリスクヘッジを行うのではなく、異なる投資手法を組み合わせることによって、それぞれが持つデメリットを補完し合う取り組みが重要です。
では、新NISAと組み合わせる投資手法で相性が良いのは何でしょうか?
投資効率を上げる点でも相性が良いといわれているのは、不動産投資です。その理由は次の5つです。
1.資産の多角化
新NISAは金融商品(株式、投資信託など)、不動産投資は不動産という実物資産への投資です。
金融市場は、日銀の金利政策や企業の業績、為替レート、国内外の政治情勢、投資家心理など様々な要因によって影響を受けます。そのため、証券アナリストなどの金融のプロフェッショナルであっても、金融市場の動向を完全に予測することは困難でしょう。
一方で不動産市場は、株式市場のように急激な価格変動を起こすことが少なく、比較的安定した資産として機能します。現に、不動産価格はここ10年の推移を見ても安定していますので、時勢の影響を受けにくい投資方法と言えるでしょう。
このように金融市場の変動と不動産市場の変動は要因が異なるので、双方を組み合わせることで、リスクを分散することができます。
新NISAでのリスク軽減には、投資先を分散させることによってリスクヘッジする必要があり、投資先である具体的な銘柄をどのように組み合わせるか(ポートフォリオ)も大切です。
2.インフレヘッジ
新NISAは、インフレのリスクを考慮する必要があります。株式などの金融資産は、インフレに対してある程度の耐性を持っていますが、インフレが進むと、せっかく増やした資産も実質的に目減りしてしまう可能性があります。特に債券は、インフレが起こると利息の実質価値が低下する恐れがあります。
対して不動産のような実物資産は、需要と供給のバランスによって価値が決定されるため、インフレの影響を受けにくい傾向があります。建築コストの上昇が懸念材料にはなりますが、むしろインフレ時には不動産の需要が高まるので、土地価格が上昇する可能性の方が高いです。
3.不動産投資のレバレッジ効果を利用して、少額の自己資金で資産形成ができる
新NISAは、月々数千円など少額から投資できるメリットがありますが、全額自己資金でしか投資することができません。
対して不動産投資は、基本的には金融機関から融資を受けて不動産を購入する投資方法です。自己資金が少額でも他人資本(融資)を活用したレバレッジ効果で、大きな金額の資産を購入することができます。
手持ちの資金は新NISAなどの株式運用で増やしつつ、金融機関からお金を借りて不動産投資を併用することで、より効率的に資産形成を進めていくことが可能です。
4.節税効果を高める
新NISAは先に述べたように運用益が非課税になるメリットがありますが、損失が出た場合の損益通算や繰越控除はできません。
対して不動産投資は、不動産を取得する際の経費や運用経費(建物の減価償却費、固定資産税、管理費、支払い金利)を他の所得と相殺することで課税所得を下げることが可能です。
所得税率が高い高所得の人は、不動産投資を組み合わせることで節税しながら資産形成をすることが見込めます。
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プロの知識を活用して「損をしない」資産形成を
新NISAと不動産投資は特性の異なる投資手法です。それぞれのデメリットを理解・補完しあいながら組み合わせることで、最大限のリスクヘッジをし、効率的な資産形成が可能になります。
そのために、自らアンテナを張り、金融知識や経済情勢などの情報を常にアップデートしていく姿勢が求められるでしょう。
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