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コラム#167 「家賃が突然2.5倍に上昇!?」投資家が知っておくべき、直近の家賃相場の変化と取るべき対応

高桑 良充
Kairos AI Co.,Ltd. CEO

年間 1,000件以上の案件の相談に乗り、仕入れる物件すべてを自身の目で見て買付、商品開発にも積極的に関与。物件の適正化を図り商品化するのは創業以来変わらず自身で行っている。
投資家に対して不動産賃貸事業のスタートをサポートし、その後運用・管理・最終的に売却・建替えまでの全てのステップを一貫して自社でフォローできる体制を構築。
2021年・2022年「楽待」セミナーお問合せ数 日本一を獲得、また2023年自身の著書「不動産投資の教科書」を出版。

「住まい」は、衣食住という言葉の通り、生活する上で欠かせないもの。
住まいを借りる時に重視するポイントは、「駅からの距離」「オートロック付き」「通勤までの時間」など、人によっても様々です。その中で、大抵の方が重視するポイントの一つに「家賃」と答える方も多いのではないでしょうか。
そのような中、先日「突然、家賃が2.5倍」という大変キャッチーな見出しの記事がネットニュースでも大きく取り上げられ、大手メディアでも話題になりました。その後オーナーが値上げを撤回すると発言しましたが、今後の動向も注視したいところです。

近年の家賃相場を見てみると、全国的に見てもコロナ禍以降は上昇傾向にあるとはいえ、先に触れた記事にあるような極端な家賃上昇には、明らかに違和感があります。またこのような極端な価格設定は、従来の「家賃=周辺相場」という広く浸透してきた見方が揺らぎかねないことを示しているのではないでしょうか。

今回のコラムでは、基本的な家賃の決め方、直近の家賃相場の動向と投資家が取るべき対応について考えてみたいと思います。

家賃はどうやって決まるのか?

家賃は、物件の需要(借りたい)と供給(貸したい)のバランスだけでなく、その物件の立地や間取り、築年数などをもとに、同じような条件の物件がいくらで貸されているか(周辺相場)を調査して決められています。
調査には、不動産ポータルサイトに掲載されている家賃や、不動産会社のみが閲覧できる物件登録サイトに掲載されている過去の成約事例を活用しています。

家賃を決める6つの要素

  1. 立地
    →駅からの距離、エリアの人気度、生活利便施設(スーパー、郵便局、病院、学校など、日常生活の快適さを向上させる施設)の充実度
  2. 間取り・広さ
    →ワンルームタイプからファミリータイプまで、ターゲット層によって異なる
  3. 築年数
    →新築は高くなる
  4. 設備
    →オートロック、宅配ボックス、ネット環境、駐車場などの付加価値のある設備
  5. 階数・構造
    →高層階や角部屋かどうか、木造か鉄筋かによっても異なる
  6. 需要と供給
    →繁忙期(春先など)かどうか、空室率によっても異なる

これらの要素を元に、貸主(オーナー)もしくは物件管理を委託している場合は管理会社が家賃を決めています。
仮にオーナーが設定した金額で募集を出しても入居者が決まらない場合は、市場のニーズからかけ離れていることも考えられるため、調整を繰り返しながら「ニーズと合致した家賃=適正な家賃」を探っていきます。

インバウンドと海外投資家による“家賃相場の変化”

家賃の相場は、先程述べた通り物件の需要(借りたい)と供給(貸したい)のバランスで決まりますが、先の「突然、家賃が2.5倍」の物件のようにそのバランスを急激に歪めるようなことが当たり前のように起こってしまうと、これまでの家賃相場のバランスが崩れる恐れがあると考えられます。

家賃相場のバランスを崩す2つの要因

① インバウンド需要

近年のインバウンド(訪日外国人)需要の高まっていますが、特に短期滞在を目的とした外国人観光客の激増を受けて、民泊の需要も急増しており、通常の賃貸物件を民泊に転用するケースも増えています。

例えば、家賃が月10万円の1R1部屋を民泊として30日間貸した場合、1泊1万円×30日=30万円の収益を得ることができる可能性があります。本来居住目的で供給されていた物件が、より収益を得ることを目的に宿泊施設として転用されてしまえば、賃貸需要のバランスが崩れる恐れが出てくるのです。

② 海外投資家による不動産の爆買い

日本国内での不動産売買は、外国人も日本人と同様に宅建業法に基づいて行われ、諸外国と違って規制がありません。加えて、日本の不動産は海外主要都市と比較してもいまだに割安感が強いため、海外投資家に積極的に購入されている状態です。

中国のように不動産に関して土地の所有権は認められない国では、資産保全の目的で購入されている背景もあり、海外投資家にとって購入規制も緩く、政治的にも経済的にも安定した日本が好まれているようです。

海外投資家の購入目的は居住ではなく、利回り重視でインカムゲイン(家賃収入)狙いであったり、資産保全として将来の転売益(キャピタルゲイン)狙いがほとんどです。
その結果、利回りを優先して、周辺相場の家賃を考慮せずに高値に設定されてしまうわけです。極端に強気な家賃設定の場合は、入居者が見込めず空室率が高まるリスクもあるため、状況によっては周辺相場に近い金額まで下方修正される可能性もあるでしょう。

特に家賃相場への影響が懸念されるのは、現物資産として不動産を保有して将来の転売益を狙う投資家のケースです。仮に入居者が決まらない状況でも、ポータルサイト上でも高い家賃で募集が継続されてしまい、周辺相場の参考データを歪める恐れがあるからです。また周辺のオーナー(投資家)に、「近隣の物件は20万円で募集しているのに、自分は15万円で募集しているから安すぎないか?」の疑念を持たせ、家賃を必要以上に引き上げてしまうリスクや、それに伴う空室リスクが発生し、実需からかけ離れた家賃相場になりかねません。

不動産投資家が意識すべき「家賃設定のリアル」

実需からかけ離れた家賃設定は入居率低下につながるだけでなく、空室が継続すれば物件の維持管理が行き届かなくなり、建物の劣化や地域イメージの悪化に繋がっていきます。
また退去者が増えれば、家賃収入が減り、修繕費や固定資産税だけがかさむ可能性もあり、最終的には投資失敗の結果を招くことも考えられます。

家賃が無駄に釣り上がった物件の入居率の低下は、周辺地域への家賃相場にも影響をおよぼします。先に述べたように、高すぎる家賃がポータルサイトなどに掲載され続けると、査定アルゴリズムの誤認を引き起こし、周辺相場を押し上げる懸念があります。

そうすると、入居希望者から「家賃が高いエリア」と誤認されてしまい、本来の適正価格で経営しているオーナーにも悪影響がおよぶことになるでしょう。将来売却する際にも、価格が不自然に高騰した市場では、出口戦略が取りづらくなる可能性もあります。

関連動画

地に足をつけた家賃設定・エリア戦略が、長期に安定した経営を支える

不動産投資では、家賃設定だけでなく、継続的な需要に目を向けることが重要です。海外投資家の急増は不動産市場に少なからず影響を与えていますが、投資は長く継続できることが重要で、入居者との信頼関係を築くことや建物のメンテナンスによって価値を維持することで、長期に安定した経営へと繋がります。

相場からかけ離れた家賃設定は、入居者離れを引き起こし、不動産投資の目的を見失いかねません。目先の短期的な利益を追求するのではなく、本来の適正な家賃設定とエリア戦略によって長期的な安定収入を獲得を目指していきましょう。

カイロスマーケティングでは、長期間に安定した不動産投資を継続いただけるよう、物件エリアの選定や金融機関のマッチングを行い、投資家へ直接物件を販売するだけでなく、物件管理まで一括してサポートさせていただいております。
ぜひお気軽にご相談ください。

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