世界の都市別投資額ランキング
新型コロナウイルスの影響によって在宅勤務やリモートワークが広がる中、東京都心部の空室率は上がっているものの、実のところ世界的にみると東京圏の不動産取引は実直な傾向をみせています。総合不動産サービス大手のJLLがまとめた投資分析によると、2020年1月〜9月の世界の都市別投資額ランキングで東京都はなんと第1位を獲得しています。
JLL、2020年1-9月期世界の商業用不動産投資額を発表(外部サイト)
国内での新型コロナ感染者数は東京都が多い傾向にあるため、都内はコロナの影響を大きく感じられるエリアという認識が強いかもしれません。しかし、日本以外の国々と比較すると東京は新型コロナウイルスの影響が少ない方で、そのため世界各国の投資家が東京に熱視線を送っているようです。
順位 | 都市 | 投資額(単位:100億円) |
---|---|---|
1 | 東京 | 203.7 |
2 | ソウル | 149.1 |
3 | ロンドン | 140.7 |
4 | パリ | 140.7 |
5 | ニューヨーク | 140.7 |
6 | ロサンゼルス | 137.5 |
7 | ダラス | 108.1 |
8 | ワシントンDC | 91.3 |
9 | 上海 | 87.1 |
10 | ボストン | 84.0 |
東京が高く評価されている理由
日本における総投資額のうち、海外の投資家による投資額の割合は年々急激に拡大しています。遡ればリーマン・ショックから始まった世界金融危機では海外投資家の多くは日本から手を引いてしまっていました。しかし、現代のコロナ禍においては、東京は海外投資家からの注目の的となっています。
その理由の1つ目として挙げられるのは、東京の魅力は他国にはない「安全性」と「安定性」を持っています。政権が交代したとしても政策の継続性が比較的担保されている、いわゆる「セーフヘイブン」としての魅力が海外投資家に好まれたと考えられます。
また、新型コロナウイルス感染者数に対する死者数や、経済的な打撃が比較的少なかったことも追い風になっています。
セーフヘイブンとは・・・
安全な場所、保護地域、聖域等の元々の意味から転じ、投資の世界では安全資産、資金の安全な逃避場所等を指します。現代のようなコロナ禍や金融危機、経済不況などの影響で世界的に株価などが急落した局面でよく使われます。
2つ目は、東京圏はコロナ禍においても物流施設や住居の取引が活発な点です。コロナ禍によってネットショッピングや宅配サービスの利用者が増加し、物流施設のニーズが高まってきています。その中で東京圏には、物流施設や住居の既存ストックが非常に潤沢に存在しています。
3つ目には、バブル崩壊後の不動産価格という背景です。元々、日本は昭和後期から平成初期までにバブル景気が到来し、その後バブルが崩壊、景気後退期に突入しました。その頃から日本の不動産価格は大幅に下落し、現在は先進国にありながら世界的に割安な不動産価格を維持しています。
その中で、昨年延期してしまいましたが東京はオリンピックの開催を予定しており、改めて注目をし始めた海外投資家も少なくはないと聞きます。そのような追い風もあり、一定の需要が確保されるだろう東京には、世界から見れば投資対象としての魅力が大いにあるようです。
最後に
新型コロナウイルス蔓延による先行き不透明な状況が続いているものの、世界的に不動産取引は再び動きをみせています。
慎重な判断が必要にはなりますが、物流施設や住居は投資家の関心が非常に高く、今後も活発な取引が予測されています。