いつの時代も「数字が人を惑わせる」のは世の常ではありますが、こと不動産投資においても、とくに「これから取り組んでみたい」と思われるビギナーの方にとって、数字のマジックともいうべき”魅力的な数値”が存在します。
預貯金の利子に比べてほんとうに高い?!不動産投資の「利回り」
たとえば、現在の日本の金融機関における預貯金の利子は、大手金融機関の定期預金で約0.002%、比較的利率が高いと言われるネット専用銀行でも0.2%程度。
つまり、100万円預け入れたとして、1年間で200〜2,000円ほどの利息がつく計算となります。
それに対して、不動産投資の「利回り」は、年間およそ5〜10%、中には最大で40%(!)などと謳(うた)うものもあるほど。
ごく一般的な預貯金の利子に対して、この破格と言っても過言ではない不動産投資の「利回り」とは、はたしてどのようなものなのでしょうか?
「利」益だけが「回」るわけじゃない ーー不動産投資の「利回り」
さて、ここまでお読みになられて、するどい方はすでにピンと来られたかもしれません。
そう、一口に「利回り」と言っても、そこにはさまざまな「利回り」が存在するのです。
1. 表面利回り
表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100
こちらは、不動産投資の広告などでもっとも採用されることが多い数値となります。
年間の家賃収入の総額を物件価格で割ったものなのですが、不動産を維持するための必要経費は含まれていない上、常に物件が満室であることが前提となっています。
2. 想定利回り
想定利回り(%)=年間家賃収入(満室想定)÷物件価格×100
「表面利回り」と並び、こちらも目にすることのとても多い数値です。
「表面利回り」と計算式はほぼ同じですが、やはり必要経費を含まない上に、年間家賃収入の条件として満室を前提としていることから、実質的にほぼ「表面利回り」と同じです。
3. 実質利回り
実質利回り(%)=(年間家賃収入−諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100
一方、「表面利回り」「想定利回り」と比べて、グッと現実的な数値となるのがこちら。
管理費や修繕積立金など、賃貸経営を続けていく上での諸経費や、固定資産税などの税金を加味したものになっており、文字通り真実味を帯びた指標、と言えるでしょう。
真の「実質利回り」に必要となる、適切なコンサルティング
このように、「利回り」には前提条件の違ういくつかの”定義”がありながら、不動産投資を勧める企業の中には、この違いを敢えてあいまいにして、より魅力的に響く「利回り」の一部の側面だけを口にするところもあるのが現実です。
そもそも、空室を一度も出さずに不動産経営を継続してゆくのは、不動産投資のビギナーのみならず、すでに長年取り組んでいる中・上級者にとっても、プロの助太刀なしには至難の業。
不動産投資が実際に利益を生み出せる構造の事業になるように、綿密に設計、運営するための適切なコンサルティングが行われることによってこそ、真の「実質利回り」となることでしょう。