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コラム#159 銀行融資に惑わされない! 正しい収益物件の選び方 – 物件評価で陥りやすいワナを回避する思考

筆者

高桑 良充

KAIROS MARKETING LTD. CEO

不動産投資は、どの物件を買うかで損をするリスクが大きく左右する成否が決まる投資手法です。そのため物件購入前に将来の売却や相続まで想定し、長期的な視点で戦略を立てることが不可欠です。

不動産ポータルサイトには全国の様々な収益物件が掲載されています。その中から何を基準に投資物件を選ぶべきなのでしょうか?

「高利回り」「築浅」「駅近」といった一見魅力的な条件に目がいきがちですが、その条件が本当に必要なのかを見極めて物件を選ばないと、思わぬワナに陥る可能性があります。

知っておくべき評価指標「積算価格」と、注目される「土地値物件」

投資物件を選ぶ際、物件の適正価格を見極めることが重要です。そのための一つの指標が「積算価格」です。
積算価格は、土地と建物を別々に評価してそれを合算した価格で、物件の総合的な価値を評価する指標です。銀行の融資審査で重視され、不動産投資の融資額は多くの金融機関で積算価格の70~80%とされています。また、不動産の売買価格の参考としても利用されています。

● 積算価格の計算方法

積算価格は土地と建物の現在の価格をそれぞれ計算し合算した価格です。土地、建物の価格は下記のような計算式で求められます。

建物の価格 = 再調達価格 × 延床面積 × {(法定耐用年数-築年数)÷法定耐用年数}

  • 再調達価格:同等の建物を新たに購入する際に必要となる金額のこと。建築構造によって価格が設定されています(木造・軽量鉄骨造が15万円程度/㎡、重量鉄骨造が18万円程度/㎡、RC造・SRC造が20万円程度/㎡)
  • 法定耐用年数:法で定めた、通常の使用方法で使用可能と想定される期間です。構造や用途によって細かく分かれています(住居の場合、軽量鉄骨造が19年、木造が22年、重量鉄骨造が34年、RC造・SRC造が47年)


土地の価格 = 公示地価または路線価 × 土地面積(㎡)

  • 公示地価:国土交通省が毎年3月に公表する、その年の1月1日時点における標準地の土地の価格です。
  • 路線価:国税庁が毎年7~8月に公表する、その年の1月1日時点における主要な道路に面した1㎡あたりの土地の価格です。


物件の適正価格を見極め、安全で効果的な不動産投資を行うために、積算価格の計算方法とその活用法を理解しておきましょう。

● 土地値物件の魅力とリスク

積算価格が土地と建物の価格を合算した評価額であるのに対して、土地単体の価値を指す指標「土地値」があります。土地値は、その土地の立地環境や周辺環境に大きく影響を受けます。

「土地値物件」とは、建物の価値を無視し、土地の価値だけで評価される不動産物件のことです。通常、古くなった建物や取り壊しを前提とした物件で使われる用語で、建物自体の価値がほとんどないか、非常に低いと見なされるため、主に土地の価値のみが評価の対象になります。土地値物件の場合、建物の価値がほとんどないため、積算価格はほぼ土地値と同じになります。

土地値物件は、将来的な土地の値上がりや再開発の可能性を見込んで、特に都市部では投資対象として人気があります。再開発が進んでいるエリアや交通インフラの整備が予定されているエリアで将来的に土地の価格上昇が見込める場所にある物件や、都心部や人気・需要がある住宅エリアの地価下落リスクが低い場所にある物件は、投資価値のある物件といえるでしょう。

しかし、建物の状態によっては、再建築や大規模な改修が必要になりコストがかさむ可能性、工事終了までの期間は家賃収入(インカムゲイン)がないというデメリットもあります。また、再建築不可の物件もあるので注意が必要です。少子高齢化の進む地方では、地価下落リスクもあります。

購入前に、周辺の土地価格の動向、将来の地価の予測、古い建物の再建築やリノベーション費用も考慮して、慎重に検討する必要があるでしょう。

積算価格への盲信が招く、投資戦略ミス

投資用物件を選ぶ際に、「積算価格」が高いほど良い物件だと考える方は多いかもしれません。確かに、積算価格は金融機関から融資を受ける際の重要な評価基準であり、積算価格が高い物件は売却しやすいという利点もあります。

しかし積算価格に偏った物件評価をしてしまうと、本来の資産形成の目的から逸脱し、投資に失敗するリスクが高まります。
積算価格には、以下の視点が欠けていることを理解しておく必要があります。

  1.  収益性の無視
    積算価格は物件の建物や土地の価値を評価する方法ですが、不動産投資で最も重要なのは物件がどれだけ収益を生むかです。
    積算価格が高くても、家賃収入や稼働率が低ければ、投資の収益性が損なわれる可能性があります。例えば、積算価格が高い物件でも、実際の家賃収入が期待以下であれば、投資としての魅力は大きく減少します。

  2. 市場の変動に対する盲点
    積算価格は現在の市場環境に基づいて評価されますが、将来的な市場変動を反映していません。特に、将来の地価の下落や賃貸市場の変動を考慮せずに積算価格のみで判断すると、損失を被るリスクがあります。
    逆に、積算価格が低くても実勢価格(実際の市場での売買価格)が高く評価されることもあります。銀行融資が通りやすく積算価格が高かった物件であっても、市場では資産価値が低いと見なされれば、将来的な売却においてはマイナス要因になるでしょう。

    不動産ポータルサイトや物件の図面だけで物件の良し悪しを判断せず、検討している物件の周辺地域での取引実績を確認するようにしましょう。

  3.  物件の状態や管理の見落とし
    積算価格は物件の物理的な価値に基づいていますが、物件の管理状態や修繕の必要性などは考慮されていません
    これにより、積算価格が高い物件でも、修繕費や管理費がかさむ場合、実際の投資価値が低くなることがあります。

    その他、高い積算価格によって惑わされがちな例として、地方の築浅かつRC造・SRC造の物件が挙げられます。
    土地の価格自体は低いにも関わらず、建物の耐用年数が長いために建物の積算評価が高く評価されることがあります。
    将来の売却時には、建物の減価償却が進んでしまい、資産価値が激減してしまうといった事態に陥ることも考えられます。

  4. 需要と供給のバランスを無視
    積算価格が高い物件でも、需要が低いか、あるいは供給が過剰な場合、空室になるリスクが高まります。
    これにより、収益が減少し、投資の失敗につながる可能性があります。需要と供給のバランスを無視した投資は、空室リスクを高め、収益性を低下させる要因となります。

    あくまでも「積算価格」は物件評価の参考値の一つであり、盲信は禁物です。

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最終的な出口戦略を見据えた、広い視野が重要

不動産投資では、積算価格だけでなく、物件の収益性、管理状態、将来の市場動向、そして需要と供給のバランスを総合的に考慮することが成功の鍵です。

また大前提として、「なぜ不動産投資をするのか?」の目的を明確にすることが重要です。キャッシュフローの獲得、資産形成、節税対策など、目的によって購入すべき物件が異なります。最終的な出口戦略を考えることも必要です。物件をどのタイミングで売却するか、売却時の市況をどう予測するか、投資のゴールを見据えた計画を立てていきましょう。

カイロスマーケティングでは、投資家の目的に合った物件のご提案をさせていただくだけでなく、銀行融資戦略においても銀行・投資家の双方を適宜マッチングさせる実績を上げています。気になる物件があれば、まずは物件の査定などからご相談ください。

 

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投資に対してお持ちの不安や疑問を、私たちと一緒に解決していきましょう。

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