減価償却は、マンション投資だけでなく、そのほかの建築物や高額で使用期間の長い自動車や機械などに投資・購入する際に知っておくべき情報の1つです。
そこでマンション投資を考えている人に向けて、減価償却の意味や仕組みをわかりやすくまとめてみました。
減価償却の考え方
使用期間が長い=耐用年数が長い不動産を購入した際に、その金額を一括で計上するのではなく、使用可能な年数に分割して必要経費として計上することです。
1,000万円の物件を購入した場合、その物件は購入した年だけでなく、継続して何年間は使用しますよね。仮に10年間使用すると考えた場合、その10年に分けて経費として計上としていくのが減価償却の考え方です。
減価償却費
減価償却の考え方は、購入した金額をただ使用する年数で分割して完了、というだけではありません。購入した資産の評価を行う方法としても使用されます。
マンションや自動車など取得価格が高額なものは、購入した年に1度2度使ったからと言って、その価値がなくなるわけではありません。使用期間が長いマンションなどの建物や自動車は、使用している年数に合わせて価値が落ちていくという考え方をします。毎年減っていく価値を計算したものが減価償却費です。
1,000万円の物件を10年に分けて減価償却する場合、1年ごとに100万円ずつ価値が下がっていくと考えた場合、1年目は1,000万円の資産価値。2年目には900万円の資産価値、というように分割した金額を差し引いていきます。この下がった金額を減価償却費として経費として計上できるので、節税につなげられます。
減価償却費を適用できるのは、使用期間が1年以上であることや取得価格が10万円以上であることが要件とされています。
耐用年数
費用を分割する期間を耐用年数といいます。その耐用年数を計算するために、法律によって定められた法定耐用年数の確認をしておきましょう。法定耐用年数は木造・金属造の構造や事務所・住宅・病院施設などの用途によって違います。
<住宅用の法定耐用年数>
・木造・合成樹脂:22年
・レンガ:38年
・鉄筋コンクリート(RC造):47年
マンションは鉄筋コンクリート造が多く、法律で定められた耐用年数は47年となっています。耐用年数を越えたとしても、建物自体の寿命というわけではないので、使用は可能です。
長く使い続けるために、定期的なメンテナンスを怠らないようにしましょう。
中古物件の耐用年数は?
中古物件の耐用年数は、築年数も合わせて考える必要があります。
まず、築年数が法定耐用年数を越えているパターンです。
<計算式>
法定耐用年数×0.2=耐用年数(端数切り捨て)
木造の建物の法定耐用年数が22年、購入予定の建物が築25年とすでにオーバーしている場合では、22×0.2で4となり、耐用年数は4年として計算されます。
次に築年数は経過していて、法定耐用年数を越えていないパターンです。
<計算式>
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2=耐用年数(端数切り捨て)
築20年経過した鉄筋コンクリート造のマンションの場合、(47-20)+20×0.2となり、耐用年数は31年となります。
新築物件の場合は、計算式の経過年数が0となるので、法定耐用年数=耐用年数となります。
減価償却の方法
減価償却は法律で定められた耐用年数と支出した金額で計算します。計算方法には「定額法」「定率法」の2つがあります。
しかし、平成28年(2016年)に減価償却の方法が改正されました。平成28年4月1日以降に取得した物件の減価償却の算出方法は、定額法のみとなっているので注意しましょう。
定額法
毎年、同じ額を減価償却費として計上する方法です。
<計算式>
建物の取得価格×定額法の償却率=毎年の減価償却費
式に必要な償却率ですが、取得価格を耐用年数で割った数値とほぼ同じと考えてください。
1,000万円の建物の耐用年数が10年の場合は、毎年100万円ずつ費用にしていくというシンプルな計算式です。
定率法
毎年、同じ割合で減価償却費を算出する方法です。
<計算式>
建物の未償却残高×定率法の償却率=減価償却費
1,000万円の建物で耐用年数が10年、償却率は0.2の場合、1年目は1,000万円×0.2で200万円が減価償却費として計上されます。2年目は未償却の800万円に0.2を掛けて160万円。3年目は残りの640万円に0.2を掛ける、というようにはじめは減価償却する額は大きく、徐々に減っていくのが特徴です。
定率法の償却率は、国税庁のHPにある「減価償却資産の償却率表」に記載されています。
土地は減価償却されない
マンションと一緒に土地も合わせて投資を検討する人もいると思います。しかし、土地は減価償却の対象ではないので注意しましょう。
マンションなどの建物や自動車は、使用している・していないに関わらず、時間の経過によって老朽化が進み、だんだん資産としての価値が下がっていきます。しかし、土地は時間の経過で価値がなくなることがないとされています。そのため減価償却されず、土地への投資分は経費として計上できないのです。
節税対策の1つとして、投資する金額のうち、建物にかかる割合を土地の価格よりも高く設定することで、減価償却費が高くなります。土地まで含めて投資を検討する際は売主と、建物と土地の価格について相談すると良いでしょう。
しかし、土地の価格を低く設定しすぎるのも要注意です。物件の資産価値は年々落ちていきます建物を比率を上げて、減価償却をしすぎると売却時、結局大きな利益が出てしまう可能性もあります。
売却時はおおよそどれくらい納税になるのか等、長期的な計画を基に設定し、上手く使う事で、投資家の投資効率の拡大につながります。しっかり理解する、もしくは専門家に相談することをオススメします。