安かったはずが…競売物件を購入したMさんの体験談
Mさんは、すでに郊外の一棟アパートを所有していました。入居者は途切れることなく安定した経営ができていたのですが、「次は都心のマンション投資をやろう」と欲が出てきます。
さっそく、不動産会社を通じてマンションを探しますが、理想の物件になかなか巡り合えません。
そんなとき、注目したのが「競売物件」でした。競売物件とは、債務返済が滞って裁判所に差し押さえられた物件のこと。市場価格よりも安いため、利回りも高くなりやすいという魅力もあります。実際にその競売物件も、周辺の同条件の物件と比べて3割ほど安く売りだされていました。
投資だからリスクがあって当然と、Mさんは不動産会社に聞いて勉強するなど対策を学んだうえで、この競売物件を購入します。
リフォーム費用や前オーナーの滞納金で、持ち出しが増加
購入後、Mさんは空室となっている部屋をはじめ建物全体をリフォームする計画でした。そのほうが、売却もしやすいと考えたからです。
さっそくリフォーム会社と一緒に、空室の部屋へ。すると、部屋の中はゴミ同然の残置物であふれかえっています。これを処分するだけでも、いくらかかるのか…?
さらに、壁紙や床板の張り替え、ユニットバスの交換など、フルリフォームをしなければ入居者がつかない有様。Mさんの頭の中では、電卓をはじき始めていました。
実際に見積もりを取ったところ、リフォーム費用は最低でも1,000万円。購入費と合わせると、市場価格とそれほど変わらなくなります。さらに、困ったことが発覚します。前オーナーが管理費を滞納していたのです。その費用は、Mさんが支払わなければならず、持ち出しもかなりの額になってしまいます。
結局Mさんは、リフォームをあきらめそのまま売却。立地条件が良かったことが幸いし、スムーズに手放すことができましたが、管理費や仲介手数料など水泡に帰してしまいました。
「競売物件は、素人同然の私が扱うものではない」とMさんは肝に銘じ、二度と購入しないと決意したようです。
マンション投資の専門家が解説
競売物件はギャンブル性が高い
多くの方は、内覧すれば防げたのでは?とこの失敗例を見て思うかもしれませんが、競売物件というのは、一般の方は基本的には内覧できません。
法律上内覧制度は設けられていますが、内覧を行うには現在物件に住んでいる占有者の許可をとるなど諸条件がある他、差押え債権者(不動産の場合は主に銀行)からの申し立てにより裁判所が許可しなければできないからです。
この申し立てを行えるのは、差押え債権者のみとなります。
ですので、内覧ができない分ギャンブル性が高く、こういった手間を嫌って、競売物件には手を出さない不動産会社も少なくありません。
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裁判所の出す資料を必ず見る
それでも安く購入できる競売物件。手を出すのであれば、裁判所から出される競売の三点セット(資料・内部写真・コメントなど)を必ず見ましょう。
内覧はできなくても、現地調査はできますので、現地へ足を運ぶことでよりリスクも軽減できます。
あまり個人での対応はおすすめできない
挙げた通り、競売物件の購入は失敗しないためにやらなければいけないことが多くあります。
そして、より利益性の高い競売物件は、不動産会社も競合になってきます。
個人でそういった不動産会社と勝負するのは、難しい戦いになってきますので、あまり競売物件はおすすめできません。