ワンルームマンションを購入したBさんの体験談
Bさんが購入した物件は、ワンルームマンションの一室でした。そこに住んでいる入居者は、立地条件などが良かったためか何度も更新してくれ、長く暮らしています。
たまに家賃が遅れることもありましたが、管理会社を通じて言えばすぐに支払ってくれるので、滞納というレベルのこともなかったそうです。
そんなある日、管理会社から「入居者が引っ越しを検討しているようだ」という話を聞きました。長く住んでくれたので、お礼を伝えたいと思っていたBさん。しかし、そんな思いが一気に吹き飛ぶ「裏切り」が待っていたのです。
突然の夜逃げ、退去費用を断る入居者
数日後、管理会社から「入居者が逃げた」という連絡がありました。部屋に駆けつけると、家財道具一式がなく、すでに「もぬけの殻」。退去手続きもせず、夜逃げ同然にいなくなったのです。
さらに、部屋の中はヤニのにおいが充満。壁紙も扉も、一面が茶色に変色しています。クリーニング費用は高額になることが予測され、入居者からあらかじめ預かっていた敷金では到底足りない…。それが夜逃げした理由だと、Bさんは直感しました。
後でクリーニング会社へ見積もりを依頼したら、20万円はかかるとのこと。敷金は10万円しかありません。残りは入居者に請求できる契約のため、まず連帯保証人を通じて入居者を探すことになりました。
数日後、入居者が見つかります。さっそく、クリーニング代の話をすると、入居者は不服として「裁判で争う!」と言ってきたのです。
退去費用の一部はオーナーが支払うことに
「たかが10万円の請求で裁判となっては、割に合わない。それに、なんだかんだ言っても長く住んでくれたという礼がある」。そう思ったBさんは、敷金だけで足りない退去費用は自分が支払うことを入居者に伝えました。
すると入居者は「敷金も返せ!」と、言ってきたのです。退去費用を踏み倒そうという入居者の魂胆が、丸見えでした。
Bさんは、管理会社を通じて「裁判も辞さない」という旨を伝えます。すると、一気にトーンダウンした入居者は、敷金返済については取り下げました。
裁判は避けられたものの、結局、不足分の退去費用はBさんが支払うことに。それに、クリーニング後は、次の入居者を探すために不動産仲介会社へ、広告費を支払う必要があります。
こうした事例は稀有ですが、入居者が退去するたびに、20~30万円の手元資金が飛んでいくことに疑問を感じたBさんでした。
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マンション投資の専門家が解説
夜逃げというのは、ごく稀
まず初めに、日本の賃貸全体において滞納が起こっていることはごく稀で、月初における滞納率は8%前後。
これには残高不足など滞納も含まれており、多くの方は管理会社からの通達で支払いに応じてくれます。
2ヶ月以上の滞納率は1.8%と本当にごくわずかなものでしかありません。
ネット上でもこういったリスクが大きく取りだたされていますが、実際のところは夜逃げに至るケースというのはごく稀です。
ですので、ここでは退去時にかかる費用について紹介していきます。
退去→新しい契約者を招き入れるまで
賃貸に住まわれていた方は経験があると思いますが、退去する際は、管理会社の方立ち合いの下部屋の確認をします。
この際に部屋の中の傷や汚れなどを確認し、入居時に支払われている敷金で傷や汚れの修理・掃除の費用を賄ってもらいます。
部屋に傷がついている、汚い状態では、次の入居者に選んでいただけませんからね。
これを原状回復と呼びます。この原状回復は契約形態にもよりますが、オーナー負担と入居者負担分が分かれます。
・原状回復
・オーナー負担分
・経年劣化部分
普通に使用していても劣化していってしまうような部分。
例)フローリングなど
・通常損耗
生活をしている中で自然に汚れてしまうもの。
例)家電製品による壁クロスの電気焼けなど
・入居者負担分
・善管注意義務違反
メンテナンスを怠った結果、汚れたり、壊れたりしたもの。
例)たばこによるヤニ汚れ、椅子によるフローリングの傷など
・故意・過失によるもの
わざと、もしくは誤って汚したり、傷をつけたりしてしまったもの。
例)ねじや画鋲による壁の穴、模様替え等による破損など
今後の空室対策を考えるならオーナー負担分のリノベーションを
賃貸物件というのは、エリアにもよりますが競合性が高く、ちょっとしたリノベーションをして他の物件よりもよく見せることが空室対策には一番です。
だからこそ、マンション投資をしていくのであれば、利回り計算の段階から退去時のリノベーション費用を計上した上で考えておきましょう。
何もオートロックをつけるとか大規模な設備投資ではなく、見栄えをよくするだけでも構いません。
経年劣化部分・通常損耗の改修だけでなく、例えばバスルームの壁を木目調に貼り変えるといった簡単なリフォームだけでも写真での見栄えが大きく変わります。
弊社ではこれをプチリノと呼んでおり、部材問屋、工務店と直取引をしており、格安の価格で提供できます。
部分的にリフォームをすることで、他の物件と違う部分があると物件の選択肢として差別化を図ることができるのではないでしょうか。
なお、個別具体的な考え方や投資手法は物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等についてはお気軽にお問い合わせください。