ようやく次のフェーズへと移行した感のあるコロナ禍ですが、従来のDINKs(共働きで子どもを持たない夫婦)や子どもが独立した世帯におけるニーズに加え、感染拡大に伴い、在宅時間が増えたこと、また離れた家族と思うように会えないロスから、ペット需要がより一層高まっています。
そんな中、単なるペット可の物件ではなく、「家族として、ペットとともに生きる」をコンセプトにした、ペット共生型の賃貸住宅が人気を博しています。
「ペット可物件」と何が違う?!居住者の満足感を支える、「ペット共生型賃貸住宅」3つの仕様
では「ペット共生型賃貸住宅」とは、ペット可の物件とどのような違いがあるのかと言えば、おもに以下のような仕様が挙げられます。
- ペット専門スタッフやトレーナーによる、入居前の入念なヒアリングを通じた、厳格な入居前審査
- 入居後のしつけ教室やイベント、セミナーの開催、入居者同士のコミュニケーションのサポート
- 入居者専用サイトにおける、役立つ情報やフォトコンテスト、投稿コーナー、専属獣医師やトレーナーによる健康・しつけの無料相談など、充実したコンテンツの提供
審査を通った入居者とペットだけを受け入れる仕組みとなっているため、しつけ意識の高い入居者が集まり、周りの入居者も厳しい審査を通った世帯である、という安心感を持つことができ、そして参加率の高いイベントや魅力的なコンテンツを通じて、コミュニティとしての連帯感、持続性も高まる傾向にあります。
それゆえ、居住者の満足度が高い上に、物件としてもさらなる価値の向上が見込める、という好循環を生んでいます。
物件上の制約がボトルネックーーペット共生住宅の供給は主要都市でわずか4.7%の現状
とはいえ、このように大きく高まるペット共生住宅の需要に対して、実際のところ、その供給はまったく追いついていないのが現状です。
そもそも、築年数5年以内の物件でペットが飼える賃貸住宅は、全国主要都市全体でわずか4.7%に過ぎません(SUUMO物件データより)。
また、賃貸居住者における「ペットを飼ってみたいニーズ」が約半数を超える54%である一方、ペットを飼わない理由が「ペット不可の住宅である」という回答は、じつに70%にも上ります(旭化成ホームズ株式会社『ペット飼育可能な賃貸集合住宅に関する調査』・2016年1月)。
このように、需要と供給に大きな乖離が見られる理由としては、物件上の制約がかなり多岐に渡る、ということに尽きます。
たとえば共用のドッグランや足洗い場、脱臭対策、ペットのためのスペースなどのペット飼育に適した設備や、災害時にペット同伴で避難する負担の大きさという観点から、避難しなくてもいいように堅牢な構造であること、などが求められます。
管理面に関しても、ペットに精通した専門の体制を整えない限り、トラブルを未然に防ぐことは困難を極めるであろうことは、容易に想定されます。
「ペット共生型賃貸住宅」にアップデートし、リブランディングするのに必要な視座とは?
かくして、借り手のニーズとして十分なポテンシャルを秘めながらも、やはりそれに見合う「ペット共生型賃貸住宅」の提供もまた困難を極めるのかと言えば、決してそんなことはありません。
「賃貸物件におけるニーズのトレンド」を正しく分析し、事業として綿密な計画を策定、ニーズとマッチングするインフラを支える設備をつねに快適に利用し続けられる環境を担保する、豊富な経験に裏打ちされたコンサルティング力は、そもそもペット可ですらなかった物件を「ペット共生型賃貸住宅」にアップデートし、リブランディングする力さえ秘めているのです。
そしてそれを正しく見極める、大局を見据えたプロフェッショナルな視座は、不動産投資による新たな資産形成の大きな拠り所となるはずです。