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コラム#68 忘れがちな毎年の経費!キャッシュフローに響く固定資産税

筆者

高桑 良充

KAIROS MARKETING LTD. CEO

日本国内における不動産投資は税金との戦いであるといっても過言ではないほどあらゆる局面で税金がかかります。
物件購入時には不動産取得税や印紙税、登録免許税が、物件売却時には不動産譲渡税(譲渡益が出た場合)が、それぞれ発生します。
購入時または売却時の税金は単発でかかるものですが、さらに保有期間中には固定資産税が毎年かかるため、固定費としてキャッシュフロープランに織り込んでおきましょう。

本記事では、固定資産税がキャッシュフローに与える影響について、物件の規模や価格、築年数のパターン別にシミュレーションしていきます。

固定資産税は毎年の固定費

固定資産税とは、不動産(土地やマンション等)をはじめとする固定資産の所有者に対して毎年課される税金です。
毎年1月1日の時点で固定資産課税台帳に登録されている固定資産が課税対象、同時点で当該固定資産を所有している者(登記簿上の名義人等)が納税義務者となり、税額は当該固定資産の評価額を基準に算出されます。

固定資産税は毎年必ず発生する固定費ですが、物件購入時のキャッシュフロープランに織り込まれないことも少なくありません。
理由としては、以下の2点が挙げられるでしょう。

・金額が毎年変動し得ることから、他の固定費と比べて計上方法が複雑であるため
・具体的な金額が物件概要や販売図面(マイソク)等に載っていない場合が多く、情報の取得に手間がかかるため

固定資産税を滞納すると、延滞金が追加で発生するだけではなく、最悪の場合は課税対象の物件を差し押さえられて競売にかけられることも想定されるため、固定資産税の金額は毎年の固定費として購入前に把握しておく必要があるといえます。

固定資産税と年間収支のシミュレーション

固定資産税は毎年の固定費として購入前にシミュレーションしておくことが重要ですが、具体的な金額は物件規模や築年数によって変動するのが一般的です。
本記事では、3つの物件規模および実勢価格(物件が実際に取引された価格)、築年数別のシミュレーションをしていきます。

一棟物件の場合

一棟物件は土地および建物の総面積が、一部屋単位の投資になる区分マンションよりも大きくなる傾向があるため、築年数や間取り等の諸条件が同じであっても物件価格および固定資産税の金額が高額になるのが一般的です。
一棟物件の固定資産税の金額を3つの場合に分けてシミュレーションをします。

①1億円の中古RCマンション(築15年前後)
1億円の中古RCマンション(築15年前後)の場合、築年数に応じた建物部分の経年減点補正率も加味すると、前後になるでしょう。
本物件における表面利回りを8%と仮定すると、年間賃料収入は800万円ですので、固定資産税は年間収入の5%前後を占める計算になります。

②5,000万円の新築木造アパート
5,000万円の新築木造アパートの場合、建物部分において新築住宅の税額軽減の特例を受けられる場合があります。本特例は、以下2つの条件を満たす建物に適用され、固定資産税額が最長7年間に渡って半額になるという特例です。

・2022年3月31日までに新築
・床面積が50㎡以上280㎡以下
※共同住宅の場合は、各居住部分に共用部分の面積を按分して加えた面積が基準

本特例を受けられると仮定すると、年間の固定資産税の金額はおよそ17万円前後になるでしょう。
本物件における表面利回りを9.5%と仮定すると、年間賃料収入は475万円ですので、固定資産税は年間収入の3.5%前後を占める計算になります。
本特例の適用がなくなる築8年目以降は、固定資産税額が新築時よりも高額になる可能性が高いため注意が必要です。

③3,500万円の中古木造アパート(築25年以上)
3,500万円の中古木造アパート(築25年以上)の場合、築年数に応じた建物部分の経年減点補正率も加味すると、年間の固定資産税の金額はおよそ7万円前後になるでしょう。
本物件における表面利回りを9.5%と仮定すると、年間賃料収入は332.5万円ですので、固定資産税は年間収入の2%前後を占める計算になります。

区分マンションの場合①ファミリーマンション

ファミリータイプの区分マンションの固定資産税の金額を3つの場合に分けてシミュレーションをします。

①7,000万円の新築マンション
7,000万円の新築マンションの場合、建物部分において新築住宅の税額軽減の特例(建物部分に係る固定資産税を半額に軽減)を受けられると仮定すると、年間の固定資産税の金額はおよそ25万円前後になるでしょう。
本物件における表面利回りを7%と仮定すると、年間賃料収入は490万円ですので、固定資産税は年間収入の5%前後を占める計算になります。
新築住宅の税額軽減の特例は新築後最長で7年間しか続かないため、築8年目以降の固定資産税額は新築時よりも高額になる可能性が高いでしょう。

②5,000万円の中古マンション(築15年前後)
5,000万円の中古マンション(築15年前後)の場合、築年数に応じた建物部分の経年減点補正率も加味すると、年間の固定資産税の金額はおよそ20万円前後になるでしょう。
本物件における表面利回りを7%と仮定すると、年間賃料収入は350万円ですので、固定資産税は年間収入の6%前後を占める計算になります。

③3,500万円の中古マンション(築25年以上)
3,500万円の中古マンション(築25年以上)の場合、築年数に応じた建物部分の経年減点補正率も加味すると、年間の固定資産税の金額はおよそ10万円前後になるでしょう。
本物件における表面利回りを7%と仮定すると、年間賃料収入は245万円ですので、固定資産税は年間収入の4%前後を占める計算になります。

区分マンションの場合②ワンルームマンション

ワンルームタイプの区分マンションの固定資産税の金額は3つの場合に分けてシミュレーションをします。

・3,500万円の新築マンション
3,500万円の新築マンションの場合、建物部分において新築住宅の税額軽減の特例(建物部分に係る固定資産税を半額に軽減)を受けられると仮定すると、年間の固定資産税の金額はおよそ12万円前後になるでしょう。
本物件における表面利回りを7%と仮定すると、年間賃料収入は245万円ですので、固定資産税は年間収入の5%前後を占める計算になります。
新築住宅の税額軽減の特例は新築後最長で7年間しか続かないため、築8年目以降の固定資産税額は新築時よりも高額になる可能性が高いでしょう。

・2,000万円の中古マンション(築15年前後)
2,000万円の中古マンション(築15年前後)の場合、築年数に応じた建物部分の経年減点補正率も加味すると、年間の固定資産税の金額はおよそ8万円前後になるでしょう。
本物件における表面利回りを7%と仮定すると、年間賃料収入は140万円ですので、固定資産税は年間収入の6%前後を占める計算になります。

・700万円の中古マンション(築25年以上)
700万円の中古マンション(築25年以上)の場合、築年数に応じた建物部分の経年減点補正率も加味すると、年間の固定資産税の金額はおよそ2万円前後になるでしょう。
本物件における表面利回りを7%と仮定すると、年間賃料収入は49万円ですので、固定資産税は年間収入の4%前後を占める計算になります。

上記のシミュレーションは概算金額です。税金の算出方法や正確な金額等は物件によって大きく異なる場合があるため、キャッシュフロープランに織り込む際は物件の詳細資料とともに専門家に見積もってもらうのが得策です。

まとめ

固定資産税の金額は物件規模および実勢価格、築年数等によって変動しますが、当該物件の利回りによっては年間賃料収入に占める割合が10%以上になることも想定できるでしょう。
税金は課税方法が予め定められているため、他の固定費と異なり投資家自身の努力で変動させることが難しい性質を有しています。
投資家としてできることは、購入前に固定資産税も織り込んだキャッシュフロープランを立てること、支払いの遅滞がないように課税金額および納期を確実に把握してキャッシュを確保しておくことです。

なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等についてはお気軽にお問い合わせください。

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