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コラム#60  ワンルームマンションの退去費用の相場はいくら?

筆者

高桑 良充

KAIROS MARKETING LTD. CEO

不動産投資は、投資としての側面と併せて不動産賃貸業という経営的な側面も持ち合わせているため、ペーパーアセット(株式や債券など)への投資よりも多くの経費(固定費、変動費)が発生するのが一般的です。
変動費の中でも、おおよそ数年に一度の頻度で発生する退去はいつ発生するかわからないうえ、賃借人の入居年数や使い方によって費用が大きく変動します。
退去に係る費用は突発的な変動費の一種であり、キャッシュフロープランに組み込んでおかなければ事業として破綻してしまう可能性もあります。
そこで、本記事では退去費用の相場およびキャッシュフロープランへの組み込み方について解説します。

ワンルームマンションの退去費用の項目と相場は?

退去費用は一般的に以下4つの項目に大別され、それぞれにおいて費用の相場があります。

原状回復工事費

原状回復工事とは、賃借人の使用による室内の損耗を復旧するための工事のことです。具体的な項目としては、床材やクロス(壁紙)の張り替えおよび傷等の補修、サッシやパッキンの交換といったものが挙げられます。
ワンルームマンションの場合、原状回復工事費用はおおよそ7.5万円前後が一般的な相場でしょう。

ハウスクリーニング費

ハウスクリーニングとは、専門業者による室内の清掃作業のことです。具体的な項目としては、エアコンクリーニング、床の清掃およびワックスがけ、水回りの水垢清掃といったものが挙げられます。
ワンルームマンションの場合、ハウスクリーニング費はおおよそ2.5万円前後が一般的な相場でしょう。

設備交換費

設備交換とは、経年劣化した室内設備を新しいものに交換する作業のことです。定期的な交換の対象となる代表的な設備には、エアコンと給湯器があります。設備交換費は退去の都度必ず発生するものではありませんが、一回の交換に係る費用は高額になる傾向があります。
費用の相場としては、エアコンは5万円前後、給湯器は30万円前後が一般的な相場でしょう。

賃借人募集に係る費用

賃借人募集に係る費用とは、空室となった住戸に次の賃借人を付けるために要する費用です。具体的な項目としては、仲介業者への報酬(一般的に「AD」と呼ばれています)、管理会社への契約事務手数料が挙げられます。
費用の相場としては、ADが賃料の2ヶ月、契約事務手数料が賃料の1ヶ月が一般的な相場でしょう。

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退去費用の4つの変動要因

退去費用には一般的な相場がありますが、以下に述べる4つの要因等によって相場より高くも安くもなる可能性があります。

入居期間

賃借人の入居期間が長いほど設備の劣化や損耗が進行するのが一般的であるため、退去費用が高くなる傾向があります。
20㎡以下のコンパクトなワンルームであっても、入居期間が長ければ20万円前後(相場の倍以上)の退去費用が発生する可能性があります。

工事費の賃借人負担額

退去費用は、原則としてオーナーと賃借人とで項目を分けて負担し合うことになります。費用負担の区分としては、「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」(は賃借人負担、それ以外はオーナー負担ということになるのが一般的です。

例えば、賃借人の喫煙やペット飼育等によって焦げ跡や傷が付いた場合、賃借人の不注意や日常的な清掃不足による漏水が原因でカビが生えた場合などは、当該箇所に係る原状回復工事費は原則として賃借人に請求できるでしょう。

ハウスクリーニング費を賃借人の負担とする旨の特約が契約書上にある場合は、ハウスクリーニングに係る費用をオーナーが負担することにはなりません。ハウスクリーニング費の負担については契約書上に特約条項があるかを確認しておくのが得策です。

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設備交換の要否

エアコンや給湯器の交換費は退去の都度必ず発生するものではなく、退去時における各設備の劣化状況や耐用年数等を考慮して交換の要否を判断します。交換頻度は高くありませんが、一回あたりの交換費用は高額になる傾向があるため注意が必要です。

エアコンも給湯器も10年に一度の頻度での交換が一般的な目安とされています。故障してから交換を検討するという考え方もできますが、エアコンや給湯器の故障は賃借人の生活に重大な支障を及ぼす可能性が高いため、10年が経過したタイミングで交換を検討するのが得策でしょう。長期間に渡って交換を怠った結果として賃借人の生活に支障を及ぼすと、最悪の場合、賃借人から損害賠償を請求される可能性もあります。

退去時期

退去時期が退去費用に影響し得る理由は、原状回復工事の作業費や賃借人募集に係る費用(特にAD)が時期によって変動することがあるためです。
一般的に、賃貸住宅市場における繁忙期(2月から4月および9月から11月)は工事業者の手が足りなくなりやすいため原状回復工事の作業費が高くなり、閑散期(5月から8月および12月から1月)は賃貸住宅を探す客層が減りやすいため賃借人募集に係る費用(特にAD)を高く設定しなければ空室が埋まらない傾向があります。

退去費用で資金ショートしないためのキャッシュフロープランの組み方

退去費用は不定期ながらも必ずといえるほど発生する変動費であるため、予めキャッシュフロープランに組み込んでおかないと資金ショートしてしまう可能性があります。突発的に発生する退去費用を見込んで資金計画を立てておきましょう。

具体的な資金計画の立て方としては、退去の都度発生する原状回復工事費・ハウスクリーニング費・賃借人募集の各項目における相場の費用を、毎月のキャッシュフローの中から手元に積み立てておくことです。キャッシュフローからの資金確保が難しい場合は、給与収入や事業収入といった他の収入源から拠出するのも選択肢の一つです。

設備交換費についても、各設備における前回の交換時期および耐用年数等から次回の交換の目安となる時期を見定めておき、毎月のキャッシュフローまたは給与収入や事業収入の中から毎月積み立てておきましょう。

退去費用の積み立て方

原状回復工事費・ハウスクリーニング費・賃借人募集に係る費用は現賃借人の契約開始日から2年が経過する時期までにそれぞれに係る費用(10万円前後+目安となる賃料の3ヶ月分)が、設備交換費は各設備の前回交換時期から10年が経過する時期までに35万円前後が貯まるように毎月の賃料収入から分割して積み立てておくのが得策です。

まとめ

不動産投資は不動産賃貸業という一種の事業としての側面も持ち合わせているため、経費が発生する局面が多くあります。突発的な変動費が発生しても資金ショートしないように、毎月の賃料収入を少額ずつプールしておくことが重要な備えといえるでしょう。

なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等についてはお気軽にお問い合わせください。

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