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コラム#58 アパート経営で法人化する税金面でのメリットや注意点を解説!

筆者

アパート経営において、個人事業主のまま経営を続けるのか、法人化するのか迷われている方もいらっしゃるでしょう。

アパート経営を法人化することで、税金の面で大きなメリットがあります。
しかし、法人化には注意しなければならない点もあるものです。
この記事では、アパート経営を法人化する税金面でのメリットや注意点を分かりやすく解説します。

アパート経営で法人化することによる所得税節税効果

法人化する最大のメリットが、所得税の節税効果が期待できることでしょう。
アパート経営する場合、家賃収入などの収入から必要経費を差し引いた額が利益となります。
この利益は、不動産所得となり所得税・住民税の課税対象となるのです。

例えば、収入が年間3,000万円ありかかった経費が1,000万円の場合、2,000万円が不動産所得となります。
個人でアパート経営している場合は、この2,000万円すべてが課税対象となるのです。

一方、法人としてアパート経営している場合、利益の計算方法は個人と変わらないため、利益額は個人同様2,000万円となります。
法人の場合は、利益に対して所得税ではなく法人税が課せられるので、2,000万円が法人税の課税対象です。
しかし、法人の場合はこの利益2,000万円を役員報酬として支払えます。
社長に役員報酬を支払うことで法人としての所得が0円となり、法人税が課せられないのです。

ただし、役員報酬は社長の所得となるため、社長にはその分の所得税が課せられます。
所得税を計算する際には給与所得控除を差し引けるため、195万円を控除でき課税対象が1,805万に下がるのです。

そのため、同じ2,000万円の利益であっても所得税は次のようになります。
個人でアパート経営する場合:課税対象額2,000万円(所得税:520.4万円)
法人でアパート経営する場合:課税対象額1,805万円(所得税:442.4万円)

法人として経営することで税制上のメリットを得られるのです。

個人の税率と法人の税率の違い

不動産所得を個人するのか、法人でするのかによって課せられる税金は大きく異なります。
個人の場合は、「所得税」と「住民税」、法人は「法人税」などが課せられるものです。
それぞれの税率は次のようになります。

課税される所得金額

所得税税率

控除額

住民税率

合計税率

1,000 から 1,949,000円まで

5%

0

10%

15%

1,950,000 から 3,299,000円まで

10%

97,500

10%

20%

3,300,000 から 6,949,000円まで

20%

427,500

10%

30%

6,950,000 から 8,999,000円まで

23%

636,000

10%

33%

9,000,000 から 17,999,000円まで

33%

1,536,000

10%

43%

18,000,000 から 39,999,000円まで

40%

2,796,000

10%

50%

40,000,000 以上

45%

4,796,000

10%

55%

法人税(資本金1億円以下の場合)

課税される所得金額

税率

所得800万円以下

15%

所得800万円以上

22.5%

法人の場合は、法人税だけでなく、法人住民税や法人事業税が課せられます。
事業の規模や地域により異なりますが、それらの法人にかかる税率の合計はおよそ30%35%ほどです。
そのため、個人での所得が800万円の場合、所得税と住民税の合計が33%となり、法人税よりも個人のほうが高くなってしまう可能性が高くなります。

例えば、年収500万円のサラリーマンが不動産投資で1,000万円の所得がある場合は次のようになります。

【個人の場合】
不動産投資での所得は、給与所得と合算し所得税・住民税の課税対象となります。
500万円(年収)+1,000万円(不動産所得)=1,500万円(課税対象額)
1,500万円×33%153.6万円(所得控除)=341.4万円(所得税)
1,500万円×10%150万円(住民税)
341.4万円(所得税)+150万円(住民税)=491.4万円
よって、約492万円もの所得税・住民税が課せられてしまうのです。

【法人の場合】
不動産投資での1,000万円をすべて法人の所得とする場合は次のとおりです。
500万円(年収)×20%42.75万円(所得控除)=57.25万円(所得税)
500万円(年収)×10%=50万円(住民税)
57.25万円(所得税)+50万円(住民税)=107.25万円①

1,000万円×22.5%225万円(法人税)
225万円×12.9%29.025万円(法人住民税)
1,000万円×6.7%67万円(法人事業税)
225万円+29.025万円+67万円=321.025万円②

①+②:107.25万円+321.025万円=428.275万円

よって法人の場合の納税額は約429万円となるのです。

所得税・住民税の税率で考えると、所得額が600万円を超えると法人化したほうがメリットはあります。
しかし、法人化には法人化するための費用や運用コストなどもかかってくるため、一般的には所得が1,000万円を超えた場合に検討するとよいでしょう。

経費計上できる項目が増える

法人化するメリットとしては、経費計上できる費用の幅が広くなるという点もあります。
不動産所得は、収入から必要経費を差し引いたもののため、必要経費を多く計上することで所得額を抑えられるものです。
しかし、個人の場合経費として認められるものには限りがあります。
例えば、生命保険などは個人の場合でも控除できますが最大4万円までです。
これに対して法人であれば、種類によっては全額経費計上できます。
このように、法人化した場合、個人では認められない経費も必要経費として認められやすくなるのです。

赤字の繰越し期間が長くなる

不動産所得は損益通算が可能です。
損益通算とは、赤字が出た場合、給与所得などの他の所得と相殺して申告できる制度のことを言います。

例えば、給与所得が400万円あり不動産所得で200万円の損失が出た場合、相殺した200万円を所得として申告すればいいのです。
さらに、この赤字部分はその年だけで相殺しきれない場合、翌年以降に持ち越すことが可能です。
給与所得が400万円で不動産所得での損失が800万円の場合、その年で相殺しきれない400万円の損失は翌年に持ち越せます。
個人の場合、この持ち越せる期間は最大で3年間ですが、法人の場合は最大10年間持ち越せるのです。

家族を役員にして役員報酬を支給できる

個人の場合、不動産投資で得た利益を家族に分配できません。
法人であれば、家族を役員とすることで役員報酬を支給できるようになります。
役員報酬を受け取った家族は、それぞれで給与所得控除を適用できるので節税効果も高くなるでしょう。
また、支払った役員報酬は経費計上できるので、法人としての所得額を抑えるのにも役立つのです。
ただし、事業に何も関わらない家族に役員報酬を支払うと確定申告で指摘を受ける可能性もあるので注意しましょう。

その他法人化によるメリット

法人化するメリットは所得税の節税だけではありせん。
所得税節税以外のメリットには次のようなものがあります。
・相続税の節税効果がある
・入居者からの信頼度が増す

相続税の節税効果もある

法人化するメリットには、相続税も節税できるということも挙げられます。
個人で不動産を所有し、その不動産を相続する場合は相続税の対象となるものです。
しかし、法人として所有している不動産は会社の財産となるため、相続税の対象とはなりません
また、不動産投資で得た利益を現金として蓄えていた場合、その現金も相続税の対象となります。
法人化すると、利益は役員報酬として家族に分配できるので、相続税の対象となる現金も少なくなるでしょう。

入居者からの信用度が増す

入居者にとって大家が「個人の大家」と「法人の大家」では印象も大きく変わるものです。
法人の大家はきちんとした会社で管理されているという印象になり、信頼度も増すでしょう。
また、法人化ですることは、金融機関や取引先からの信頼度を上げることにもつながるのです

法人化による税金面での注意点

法人化によるメリットについて解説してきましたが、法人化にはデメリットもあるものです。
法人化のデメリットには、次のようなものがあります。
・利益が出ていなくても均等割の法人住民税はかかる
・法人化することで税務署の調査が入りやすくなる

利益が出ていなくても均等割の法人住民税はかかる

法人税は、所得に対して課税されるため損失が出た年は納税する必要がありません。
しかし、法人住民税の中には、所得にかかわらず法人として設立していることに対して課税される「均等割」というものがあります。
該当地区によってその額は異なりますが、東京都の場合、資本金1,000万円以下で従業員が50人以下の規模では、年間7万円が課税されます。
たとえ、法人として赤字であってもこの額を納めなければならないことに注意が必要でしょう。

法人化することで税務署の調査が入りやすくなる

確定申告すると、申告内容について税務署から調査される場合があります。
国税庁によると、2017年度に行われた税務調査は次のとおりです。
・個人 1.1%
・法人 3.2%
大きな数字ではありませんが、法人のほうが個人よりも3倍近くも調査される割合が高いのです。
また、近年は不動産所得の対象となる場合、「お尋ね」などの照会文章を送付するケースが増えている傾向にあります。
お尋ねは、経費や所得などの一部の項目について確認されるもので、税務調査の前段階ともいえるでしょう。

このように、不動産投資している人でさらに法人化すると、税務調査される可能性が高くなる傾向があるのです。
しかし、普段から書類の保管や適切に会計処理していれば、税務調査されるといっても恐れることはないでしょう。

まとめ

アパート経営を法人化するメリットをお伝えしました。
法人化することで、所得額を抑えられ、所得税や住民税の節約効果が高くなるというメリットがあります。
また、相続税や入居者からの信頼度アップなどのメリットもあるものです。
しかし、法人化では所得にかかわらず税金が掛かることや税務調査の可能性が高くなるなどの注意点もあるものです。
この記事を参考に、法人化のメリット・デメリットを比較し、所得額などを考慮して慎重に法人化を検討するとよいでしょう。

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